マニャーナの法則で説くバッファー・ゾーン

よくタスク管理では、バッファやスラックといったすき間や余裕を持つことが重要であると説かれているのを見かけます。

 

そもバッファとは、ここではマニャーナの法則から

 

仕事とは心理的距離を取る必要があり、バッファー・ゾーンはその距離のことを指している。これがあると新しい仕事に反射的に反応せず、緊急度を判断し、どのように取り組むかなど、適切な判断をした上で取り組むことができる。

 

そもスラックとは中島聡さんの『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』から

 

みなさんがいつも「持っておけばよかった…」と後悔する余裕のことを、「スラック」といいます。スラックとはたるみ、緩みなどを意味する言葉で、転じて心理的な余裕のことを指します。

 

このようにバッファやスラックを持つことは、タスク管理を進める上で不確定要素(割り込みのタスクに対応したり、タスクを進めていく上で新たに判明したタスクへの対応)の発生に対応するためにも重要であることが説かれます。

 

では、そのバッファやスラックを獲得するにはどのようにすればいいのでしょうか。よくあるのは、タスク管理をした結果として、授受すればいいと説かれます。そのためのタスク管理であると。でも、果たしてそう簡単にいくのでしょうか。タスク管理ができていないからバッファやスラックを得られない。では、タスク管理をしましょうでは、トートロジーです。

 

一方、マニャーナの法則は、基本的にタスクを「明日やる」というシステムを作り出します。この「明日やる」というシステム自体に明日までのバッファーを設けているのです。これならば、とりかかった時点からバッファーが生まれることになります。他のタスク管理手法では得られない大きな利点だと思います。

 

タスク管理のプロセス

様々なタスク管理の手法がありますが、おおよそ以下のプロセスをそれぞれ独自の方法を取るのではないでしょうか。

認識→判断→収集→実行→記録→検証→調整

認識

まずは、それが「ある」ことを認識することが必要です。「それ」とは情報であったり、アイデアであったり、感情であったりと様々です。また、「ない」という状態が「ある」ということで、「ない」も「ある」に包含されます。ここではまだ概念でしかありません。

 

判断

次に、それが何か?という判断を行います。GTDでいうところの「処理(これは何か?)」を含みます。分類に2種類あります、カテゴリ分けと自分と自分以外とです。カテゴリ分けは、それが情報なのか、アイデアなのか、タスクなのかといったところです。自分と自分以外とが、7つの習慣でいうところの影響の輪と関心の輪であり、マニャーナの法則でいう興味の範囲とコミットメント(引き受けるという宣言)です。

 

収集

次に、それをどこに?というプロセスです。判断した後に、適切な場所に集めることになります。頭の中に置いておくだけでは、どこかにいってしまいますので、メモ(紙媒体か電子媒体)をすることで、概念が文字という実態を持つことになります。各種リストの形を取ることが多いです。この過程をデザイン(計画)と言い換えることもできます。また、紙に書く(文字にする)ことで、なにが足りないのか分かったり、衝動の脳を押えたりします。

 

実行

タスクに対して、次の行動は?というプロセスです。次の行動が分からないタスクは実行されにくいです。例えば、あるタスクを実行していて、新しいタスクが発生した時点で別のタスクを行うようにすると、再び元のタスクを実行しようとしたときの障害が低くなります。一区切り終えて次に何をしようかといった状態で手放すと、次にそのタスクに着手するのが億劫になります。タイマー、ライフログをとるなどから実行に結び付ける副次的な効果があります。

 

記録

実行をサポートしてたタイマー、ライフログなどから記録に残すことで、この次の検証のプロセスに結び付けます。昨日悪かった部分は、今日は良くしよう、昨日良かった部分をさらに良くしようと思う際に記録があると次のプロセスである検証(振り返り)が容易になります。日記やメモも役に立ちます。

 

検証

振り返り、レビューと言ったことが相当します。実行したタスクが効果的であったかどうか、また他に目的に沿ったもっと効果的なタスクを実行するべきではないかと言った問いを持つようにします。

 

調整

検証結果を踏まえて次に行うタスクを考えます。これまで行ったプロセスやシステムに問題がなかったかどうか調整します。

 

タスクが発生した際にそのタスクの中に「今すぐ」と「今日中に」が含まれていないかスクリーニングにかける

マニャーナの法則では、全てのタスクを明日やることを基本にはしていますが、まず肝心なのはタスクが発生した際にそのタスクが「今すぐ」なのか「今日中に」なのかを判断するプロセスがあるということです。タスクの中に「今すぐ」と「今日中に」の要素が含まれていないかスクリーニングにかけるようにしています。

 

その前に、

新しい仕事が来たら、引き受ける前に必ず「この仕事は、既存の仕事より価値があるのか?」をまず自分に問いかけることです。

 

タスク管理の基本として、タスクそのものがないこと(タスクそのものが無くせないか)に勝る効率的なことはありません。そしてそれがノーであるならば、ノーを上手に言える人になる必要があります。その上で、対話でいえば、期限に関わる単語に気を配ります。

 

文書でいえば、斜め読み(7回読み勉強法でいうところサーチライト読み(上下左右ジグザグに読む))で探ります。この時に明確に期限が書かれているものは、わかりやすいです。文章の内容から「今すぐ」なのか「今日中に」なのか汲み取る必要があったり、よくあるのが上司からメールで期限が区切られていない時など、期限を区切らない=いつでもいいんですね(意訳)と思っていると存外締め切りが近かったりするので、ここは確認が必要になることもあります。ここでも基本的なスタンスは明日やるです。

 

事象でいえば、GTD的に2分以内で完了ようなもの、もしくは「明日やる」とすると余計に時間がかかりそうなもの、例えばファイルに綴じるようなタスクで、綴じようとしていたファイルを探し出さないといけないとかで判断します。ただし、2分以内といいつつ、それが積み重なると他のタスクを圧迫しだしたり、スーダラ節ではありませんが、ちょいと一杯のつもりで飲んでいつの間にやら2分以上が経過していたりするので、油断は禁物です。こういったときにタスクシュートでタスクの見積時間を入れて多くと防ぐことができます。

 

書類がデスクの上で、右と左とで行き来する

タイトルだけではなんのことやらですが、マニャーナの法則を試していると、主に職場のデスクで書類が右と左とで行き来することになっています。よくある決裁箱(未決と既決)はスペースをとるため置いていないのでこのような現象が生じています。2段組のレターケースも考えましたが、書類の厚みに耐えきれないので諦めました。そもそも、そんなに仕事をためてはいけないのかもしれません。

 

具体的には、当日処理する書類が右手側にあるとします。この時、前日に処理する順(タスクシュートの順)に書類を並べ替えておくと上から順に処理していけばいいだけになり、書類探しに邪魔されずシームレスに作業に没頭できます。

 

右側の書類を手に取り、目の前には処理する書類だけがある状態で処理を進めます。処理が完了したら書類を処分します(保存する場合はpdfに、必要なければ廃棄)。処理をした時に新しいタスクが発生した(何か別の調査が必要だとか)段階で「明日やる」として、書類を左側に置いていくようにします。

 

1日が終了した時に全ての書類が左側に移っている!ってなことはまれで、大抵、処理しきれなかった書類の束を最後にまとめて「えいやっ!」と左側に移して「明日やる」ことにします。(今日中に処理しないといけないものがないか確認した上で)次の日は当日処理する書類が左側にある状態となります。以下繰り返しとなります。

 

タスク管理の欲求段階

元ネタはもちろんマズローの欲求段階

jibun-compass.com

 

そもマズローの欲求段階とは

1.生理的欲求
2.安全の欲求
3.所属と愛の欲求
4.承認の欲求
 自己の自己に対する評価の欲求
他者からの評価に対する欲求
5.(超越的でない)自己実現の欲求
6.(超越的な)自己実現の欲求
優先順に並んだ欲求は、低いものから順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れます。

 

これはタスク管理にも当てはまるのではないかと思いました。

 

1.やるべきことがやれるタスク管理

まずは、やるべきことがやれていない状況が現出します。この段階のタスク管理は、やることをメモしておくことでも解消できたりします。もう少し立ち入ると各種タスクリストの作成を考えます。タスク管理の入口といえるでしょう。ただし、後々に記す段階に到達したのちにこの段階のタスク管理に戻ることもあります。マズローの欲求段階でいう「1.生理的欲求」「2.安全の欲求」「3.所属と愛の欲求」あたりでしょうか。

 

2.やるべきことをやって、生まれた時間でやりたいことをやるタスク管理

やるべきことができる(これだけでもすごいことですが)ようになり、時間を生み出すことができるようになると、その生み出した時間でやりたいことをやるタスク管理に進みます。やりたいことをやるとモチベーションが高まり、さらにやるべきことを処理していくことに拍車がかかり、やりたいことができる時間が増えます。マズローの欲求段階でいう「4.承認の欲求 自己の自己に対する評価の欲求」あたりでしょうか。

 

3.やりたいことをやって結果を出すタスク管理

やりたいことができていると、やれていたこと自体に満足していた段階から、結果が出ることを求めるようになります。これはこつこつと努力を積み重ねていけるようにした結果を手に入れるということで、マズローの「4.承認の欲求  他者からの評価に対する欲求」「5.(超越的でない)自己実現の欲求」のあたりで、例えば資格試験に向けて勉強し、試験に合格するといったところでしょうか。

 

4.やりたいことをやって思わぬよい結果に結びつくタスク管理

そして最終段階として、やりたいことをやって自分が想定してた範囲外に飛び出してそれが、よい結果をもたらすといったものです。デイル・ドーデン著『仕事は楽しいかね?』のいろいろやって成り行きを見守るにも通ずるものだと思います。知的生産や、Eureka(エウレカ)といったものをイメージします。

 

このような感じで自分がいまどの段階のタスク管理にいるのか確認してみてもいいかもしれません。ただ、環境の変化によっては最終段階に居たのが急に第一段階に戻ることもありますし、タスクの一つ一つをみるといろんな段階のタスクが入り組んでいるのが現状だと思います。そこで、そのタスクが所属する段階が全体のタスクのどれだけの割合をしめているのかバランスを意識してタスク管理をしてみるのも面白いと思います。

 

みんなちがって、みんないいタスク管理

motokurashi.com

 

すさまじく共感致しました。そしてツイート。

 

  

ふと思ったのが、今タスク管理に取り組み、ブログやツイートしていくなかで「一番いいと思えるタスク管理の方法を提示しよう」ということを常に意識していますが、それは必ずしも「(読んだ人にとって)一番楽しいと思える仕事の仕方」ではないときもあるのではないかということです。

 

タスク管理はその人に合ったものを使うのが一番だと思っています。したがって、私にとっては一番よくても、他の人にとってはそれほどということはままあり得るものです。なので、なるべくいろんなタスク管理に取り組んで行く過程も含めて記事にしてくことにしています。

 

このあたりはブログのアバウトページ(タスク管理を一緒に考えましょう)にも記載しています

・タスク管理について試行錯誤の過程が見えます
今も試行錯誤中であり、たった一つの方法を提示するのではないので、その過程で切り捨てた方法が、他の人には合うこともあると思います。

 

・自分に合ったタスク管理が見つけられるかも
タスク管理のいろんなことを試しています。行っているタスク管理の手法をすべて取り入れる必要はありません。自分に合った部分だけ取り入れることでいいと思います。

 

今マニャーナの法則を試すなかで、人によっては「今すぐ」対応するタスク管理のほうがスピード感のあるリズムが楽しい、または自分のボールを極力少なくするために、明日まで自分のボールで持っていることに抵抗を覚えることがあると思います。私自身も、中島聡さんの著書「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」に登場するロケットスタート仕事術に心酔し、タスクペディアでタスク管理をする上で気を配る「当方」を「先方」にしていきたい気持ちも手伝って、つい「今すぐ」対応して、明日やるとしていたことができなくなることがあります。ただ、それはつまり昨日の自分と「明日やる」とした約束を反故にしていることに他なりません。

 

マニャーナの法則の書中に登場する自動車整備士の話では、なんでもかんでも「今すぐ」対応する腕利きですが整理整頓と無縁なジョーと、腕はジョーより落ちるが管理能力が抜群のミックが対比されています。書中ではジョーは状況をなんとかしたいと思っていると書かれていますが、現実にはこれに満足する人もいると思います。逆にミックのような仕事をしていても満足できない人もいるかもしれません。

 

そう考えるとあるタスク管理は効率がいいいけど、楽しくないなとか、このタスク管理は楽しいけど、漏れやダブりがあるな、と様々な評価軸があり、このあたりもタスク管理の面白いところだと思いつつ、たった一つの方法を押しつけるようなことにならないよう心掛けながら情報を発信していきたいと思います。

 

マニャーナの法則 システムの復旧を試す(第3段階 システムを点検する)

前々回に引き続き

genbu60.hatenablog.com

 

「第3段階 システムを点検する」を試します。

 

仕事がうまく進まないならシステムを変えよう
仕事がうまく進まない時は、仕事のシステムに目を向けることが大切です。
適切な処理システムができれば、より効率よく仕事ができるようになるはずです。

 

ここでは仕事がうまく進まない時をタスク管理がうまくいかない時とし、システムをタスク管理システムと狭義にとらえて点検(見直し)を行うことにしてみました。

 

大きく分けて二つの対象があると思いました。一つが、タスク管理システムそのもの、もう一つがコミットメントです。ふと思ったのが、これは言い換えるとタスク発生以後を担うタスク管理とタスク発生以前を担うタスクマネジメント(の一部)です。

 

タスク管理システムそのものについては、これまで一連のブログやScrapboxで記してきたように、マニャーナの法則を中心に据えたタスク管理システムに組み直しているところです。マニャーナの法則がさいつよとの認識を日々実感しています。ここでは、コミットメントについて記していきたいと思います。

 

そもコミットメントとは、

 

「私はこの仕事に集中する」「この仕事を引き受ける」と自分自身と周囲に宣言すること。一人の時間と能力には限りがあり、コミットできる仕事にも限界がある。無条件に新しい仕事を引き受ける人は、この点で問題がある。 

 

 そして、書中にて

 

あなたは仕事を抱えすぎてはいないでしょうか?

 
とあります。これを読んだときに、「いやいや、抱え込みたくないけど、そうせざるを得ないんだよな」と思いました。人員がいない以上、仕事を抱え込みがちになります。

 

ここでは、仕事を抱えた原因、つまり、あなたのコミットメントに注目しましょう。上司に頼まれたにしろ、自分で引き受けたにしろ、結局はあなたのコミットメントが問題の源泉です。「仕事を減らすこと=コミットメントを減らすこと」です。


ただ、そこで思考停止していても始まらないので、確かに職域で担当が割り振られているとしても、一つ一つの仕事(タスク)に対して自分のコミットメントが多かったのかもと考え直しました。コミットメントを減らせるところがないか、サブタスク単位でも見直して減らすようにしてみました。

 

仕事の「やり残し」が出るようなら、まずはコミットメントを見直すことです。芝生の手入れと同じように、コミットメントにも定期的な手入れが必要だということを覚えておきましょう。


また、一律でコミットメントを固定するのではなく、忙しい時期、仕事が多いときとそうでないときとで同じタスクを実行するにしても、サブタスク単位でコミットメントの程度を調整してみるのもいいかもしれません。